相続人の中に障害者がいる場合には、相続税から一定の控除が受けられる特例があり、相続税の障害者控除といいます。
この記事では、相続税の障害者控除とは何か、適用要件や注意すべきポイントについて考えていきたいと思います。
相続税の障害者控除とは
相続税の障害者控除とは、相続人に障害がある者が取得した遺産から相、一定額を控除する制度のことをいいます。
控除額の計算方法
障害者控除額を計算する方法は、一般障害者の控除と特別障害者の控除のふたつがあり、具体的な控除額は次のように計算できます。
- 一般障害者の控除額
(85歳-相続開始時の障害者の年齢)×10万円 - 特別障害者の控除額
(85歳-相続開始時の障害者年齢)×20万円
控除額の基準となる年齢が85歳であるため、満85歳を迎えた方に関しては、障害者控除は適用されません。
なお、一般障害者と特別障害者の区分は簡単にいうと、障害の程度によって異なります。
詳細に関しては「法令解釈通達第19条の4≪障害者控除関係≫」を確認してみてください。
参照:国税庁HP 法令解釈通達第19条4障害者控除関係
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/08.htm#a-19_4_1
相続税の障害者控除が受けられる要件とは
相続税の障害者控除を受けるには、相続税法で決められた次の4つの要件を満たす必要があります。
- 1.85歳未満であること
- 2.財産を取得したときに日本国内に居住していること
- 3.財産を取得したときに障害者であること
- 4.法定相続人であること
上記をひとつでも満たしていない場合には、障害者控除を受けることはできません。
相続税の障害者控除を受けるときに注意すべきポイント
相続税の障害者控除を受ける際に注意すべきポイントは、2回目の相続以降、過去の分を差し引いて控除額を計算しなければならないことがあります。
2度目の相続で適用できる控除額は、次のうち少ない方の額です。
- 2回目の相続時に計算される障害者控除の額
- 1回目の相続時に控除しきれなかった額
まとめ
相続税の障害者控除は、障害を持つ相続人の負担を大きく軽減できる制度です。
しかし、相続税申告書への記載方法、控除額の計算、添付書類などさまざまな点において複雑な面があります。
障害者控除を受けたい場合には、適用ミスや計算ミスを防ぐためにも、相続税の申告に詳しい税理士に相談することをおすすめします。